のだめカンタービレを元音大生が読んで 9巻のあらすじ・曲目解説・感想

・のだめカンタービレ(二ノ宮知子) 9巻の内容
のだめはマラドーナ・コンクールにて、本選出場できることに。
引き続きハリセン江藤の家に泊まり込み練習を続けますが、始める時期がおそく、期間が短かく、途中で熱を出してしまったこともブランクとなり、3つの大曲をすべて完全に準備することはできませんでした。
それでも諦めず、コンクール会場へ向かう電車の中でさえも譜読みをして、ギリギリのところで挑みます。
2曲目までは集中力も抜群、うまく審査員や聴衆を惹きこむことができましたが、3曲目は準備が間に合わず、途中で止まってしまうという事態に。
結果は落選。のだめはひどく落ち込みます。
一方、千秋は国内でやるべきこと、「R☆Sオーケストラ」の最後のコンサートにて大成功をおさめ、ヨーロッパへ向かう準備は出来た様子。
のだめの努力を見守っていた千秋は、一緒にヨーロッパへ行って勉強しないかと、勇気を出してのだめを誘いますが、いつもあんなに千秋にメロメロなのだめからあっさり振られてしまいます。
時期は年末。のだめはテンションが低いまま福岡の実家へ帰ることに。
千秋は福岡までのだめを追いかけ、更に説得します。
また、のだめの担当教師江藤は今回、コンクールで失敗したものの、力があると判断し、のだめの代わりにフランスの音楽院への願書を出してくれることに。
2人は本当にヨーロッパへたどり着けるのでしょうか?
・のだめカンタービレ9巻に登場する曲目解説(8曲)
①ベートーヴェン ピアノソナタ 第23番 作品57 「熱情」
コンクールの本選にて他の人が弾いていた曲。
既に耳の病気は悪化が進んでいました。
この曲はフランツ・フォン・ブルンスヴィック伯爵に献呈されました。
めらめらと燃え上がるような感情がそのまま音に表現されており、聴いている人の心の底まで響くほど、ずっしりとした重み、深みのある曲です。
技巧的でもあり、演奏者には高い技術が問われます。
②モーツァルト ピアノソナタ k.300d(310) (1778)
のだめがコンクール本選で弾いた曲。
モーツァルトのピアノソナタは長調が圧倒的に多いですが、この曲は数少ない短調で、悲劇的な感情であふれる曲です。
1778年に母アンナを亡くし、その悲しみがこの曲に表現されていると言われています。
③シューマン ピアノソナタ 第2番 作品22
のだめがコンクール本選で弾いた曲。
幻想的な曲が多いシューマンの曲の中では形式に基づいたソナタらしいものとなっています。
この曲はシューマンらしくないとの声もあります。
非常に情熱にあふれ、感情的で激しい曲になっています。
④ストラヴィンスキー 「ペトルーシュカ」
のだめがコンクール本選で弾いた曲。
ストラヴィンスキーの3大バレエのひとつ(「火の鳥」、「春の祭典」、「ペトルーシュカ」)。
ロシアバレエ団のために作曲されました。
おがくずで出来たわら人形は、魂を吹きかけられ、恋をします。
でも、感情はあるにも関わらず本当の人間にはなれず、人間に憧れるようになる、というピノキオのようなお話です。
可愛らしい場面が続きますが、その反面人間にはなれない苦しみを表すような場面も出てきます。
⑤ドビュッシー 「牧神の午後への前奏曲」
新オケで演奏された曲。ドビュッシーの出世作。
詩人マラルメの「牧神の午後」からインスピレーションを受けて作られました。
牧神がお昼寝中にロマンチックな夢を見るという内容です。
この曲はフルートからはじまり、その後もフルートが重要な役割を果たします。
フルートのふわっとした音が、お昼寝のまどろみを上手く表現しています。
とても柔らかく、ファンタジーでロマンチックな曲で、聴いていると天国のような素敵なところに連れて行ってくれそうな気分になります。
⑥サラサーテ ヴァイオリン協奏曲 「カルメン幻想曲」
新オケで演奏された曲。清良がヴァイオリンを務めました。
ジョルジュ・ビゼーのオペラ「カルメン」の旋律をモチーフとした楽曲。
「カルメン」に基づいた作品はたくさんありますが、その中でも有名な曲です。
⑦R.シュトラウス 交響詩「ティル・オイレン・シュピーゲルの愉快ないたずら」
新オケで演奏された曲。伝説の奇人ティル・オイレンシュピーゲルの物語を音楽にあらわした作品です。
ティルの笑い声がクラリネットであらわされたり、逮捕のシーン、処刑されるシーンなど、わかりやすい音楽で描写されています。とても生き生きとした曲です。
⑧ベートーヴェン交響曲第7番
新オケで演奏された曲。
曲目解説はこちら↓
・のだめカンタービレ9巻を読んでの感想
千秋がのだめの実家福岡へ自ら向かい、のだめを後ろから抱きしめるシーンがあります。
これはかなりドキドキしました!(笑)
のだめは千秋にゾッコンですが、いつも千秋は迷惑そうにしています。
周囲から「付き合ってるんでしょ」と言われても断固として否定しているのに、千秋は心のどこかでのだめの人柄や演奏に徐々に惹かれていってるのでしょう…そうでないと福岡までいきませんよね。
のだめはかなりの不思議ちゃんで、ずぼら、ガサツな女の子ですが、そういうところがまた、千秋も放っておけないのでしょう。
音楽のことばかり気を取られて、ラブストーリーでもあるということを忘れていました。(笑)
ちなみに、私の音大生時代はこんなにドタバタで甘酸っぱい素敵なラブストーリーみたいなのは特にありませんでしたね。経験したかったなぁ。
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2018年 3月 07日
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